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目次
国家資格『旅行業務取扱管理者』を分かりやすく解説!~運賃・料金編~
国家資格である国内旅行業務取扱管理者は『旅行業法』、『旅行業約款』、『国内実務』の3教科で構成されています。
各教科で60点以上取る必要があります。ここではその国内旅行業務取扱管理者を取るのに必要な知識を解説します。
今回は旅行実務のうち、『運賃・料金』に関する情報をまとめました。
実際の試験に出てきた問題も載せてみましたので、是非チャレンジしてみてください。
【JRの運賃・料金】
1.JRの基本的な運賃計算
①用語解説
今後解説する上で必要な用語をまとめました。
・幹線:JRの主要路線
・地方交通線:JRの中でも比較的に利用が少ない路線
幹線と地方交通線では運賃が異なります。
・新幹線:下記の7つの路線の事
A.北海道新幹線(新青森~新函館北斗)
B.東北新幹線(東京~新青森)
C.上越新幹線(東京~新潟)
D.北陸新幹線(東京~金沢)
E.東海道新幹線(東京~新大阪)
F.山陽新幹線(新大坂~博多)
G.九州新幹線(博多~鹿児島中央)
※山形新幹線と秋田新幹線は在来線扱いになっています。あくまで新幹線専用の線路を通っているものをここでは新幹線と呼んでいます。
・在来線:新幹線以外の路線の事。幹線や地方交通線の総称と思ってくれれば結構です。
他のも用語はありますが、その都度解説します。
②契約の成立
旅客が運賃・料金を支払い、乗車券類などの交付を受けたときに契約の成立です。
③計算の端数
さてここから計算の解説になるのですが、その前に端数の計算について説明しておきます。
・キロ数:運賃は線路が何kmあるかで決まります。小数点以下の数字は切り上げになります。
例:営業キロが86.1kmの場合→87kmとして計算
・子供人数などの端数整理:JR東日本のICカードを除いて、運賃は10円単位になっています。子供料金は大人料金の半額になりますが、半額にした際に一の位が0ではなかった場合は一の位を切り捨てます。
例:4,995円の端数整理→4,990円
キロは切り上げ、金額の端数整理は切り捨てなので注意して下さい。
④大人・小児・幼児
JRでは年齢・就学によって大人・小児・幼児の扱いが変わります。
・大人:中学生以上(12歳でも小学生は小児)
・小児:小学生(6歳でも小学校入学前は幼児)
・幼児:1歳以上6歳未満(幼児単独の場合は小児料金)
・乳児:1歳未満(単独で指定席を利用する場合は小児料金)
小児の運賃は下記の通りです。
乗車券を所持する小児以上が幼児、乳児を随伴する場合、幼児2人まで運賃・料金は不要です。
ただし次の場合は幼児・乳児でも運賃・料金を支払います。
・幼児だけで乗車する時
・随伴する幼児が2人を超える場合
・幼児が団体で乗車する場合(遠足など)
・幼児、乳児が座席してや寝台を1人で使用する時
⑤乗車券類の発売日
〇指定券
列車が始発駅を出発する日の1か月前の10時から発売します。
前の日に同じ日がない場合はその月の初日が発売日です。
例
3/29:2/29がないので3/1
5/31:4/31がないので5/1
〇座席未指定券
指定した乗車日の列車群のうち、始発駅を最も早く出発する列車の出発日から1か月前の10時
〇普通乗車券・自由席料金券
1ヵ月前から発売
〇団体乗車券、貸切乗車券
団体の申し込みは出発日の9カ月前から受付開始。
発行は始発駅出発日の1か月前から11日前まで
⑥運賃計算の原則
〇営業キロ
営業キロは実際の線路の距離です。この営業キロが何kmになるかで運賃が決まります。
〇打切り
A.運賃の計算経路が環状線を1周する場合は環状線1周となる前後の駅で営業キロを打ち切って計算します。
例:郡山駅を出て、福島駅、仙台駅、羽前千歳駅、山形駅、福島駅を経由して再び郡山駅に戻る場合
郡山駅~福島駅~仙台駅~羽前千歳~山形駅~福島駅→ここで運賃計算
福島駅~郡山駅→ここで運賃計算
この画像の赤の部分と青の部分で別々に運賃を計算します。
B.計算経路の一部または全部が複乗になる場合は折り返しとなる前後の駅で帰路を打ち切って計算します。
例:東京駅を出て松本駅へ行き、松本駅から上諏訪駅へ戻る場合
東京駅~松本駅→ここで運賃計算
松本駅~上諏訪駅→ここで運賃計算
赤と青の部分で別々に計算します。
〇JR各社
日本列島は主に北海道・本州・四国・九州で構成されています。
JRは日本の地域ごとに別々の会社が管理しています。
・本州3社(JR東日本、JR西日本、JR東海)
・JR北海道
・JR四国
・JR九州
実はこの4社でまたそれぞれ運賃が別々に設定されています。
また、これらの会社は線路で繋がっており、境界線となる駅が決まっています。
例
JR東日本←新青森駅→JR北海道
JR西日本←小島駅→JR四国
JR西日本←下関駅→JR九州
JR西日本←小倉駅→JR九州
JR西日本←博多駅→JR九州
〇幹線と地方交通線
最初の用語で幹線と地方交通線があることを解説しました。
幹線と地方交通線では運賃計算方法が異なります。
・営業キロ
→JR各社の幹線のみを乗車する場合、本州3社とJR北海道の地方交通線のみを乗車する場合に使用
・換算キロ
→本州3社とJR北海道内で幹線と地方交通線にまたがる場合に使用
・擬制キロ
→JR四国とJR九州の地方交通線に乗車する場合に使用
計算方法は複雑なのでこの後個別に解説していきます。
ここで運賃計算をするパターンを表にまとめます。
⑦運賃の計算方法
では以上を踏まえて計算方法に入ります。
A.本州3社内のみ・JR北海道内のみ利用
〇各JR内の幹線のみ乗車の場合
本州3社の幹線のみ利用の場合、営業キロの少数第一位以下を切り上げて、本州3社の運賃表から求めます。
222.4kmなので、切り上げて223kmで計算します。
こちらが本州3社幹線の運賃表です。221km~240kmは4,070円なので、答えは「4,070円」です。
因みにJR北海道幹線用運賃表、JR四国用運賃表、JR九州用運賃表があるのでご注意ください。
〇本州3社の地方交通線のみ、JR北海道の地方交通線のみを利用する場合
同じく営業キロの少数第一位以下を切り上げて、本州3社の地方交通線の運賃表またはJR北海道の地方交通線運賃表を見ます。
換算キロは気にしないでください。営業キロ62.9kmだけ見ます。端数を切り上げて63kmとして、計算します。
56~64kmを見て答えは1,170円です。
〇幹線と地方交通線をまたがる場合
幹線は営業キロ、地方交通線は換算キロを使用します。
営業キロ+換算キロ=●km
この●kmの少数第一位以下を切り上げます。この時見るのは本州3社幹線の運賃表です。地方交通線の運賃表は使いません。
赤が幹線、青が地方交通線です。
実際の試験では色を分けたりはしません。営業キロだけ書いてあれば幹線、営業キロの他に換算キロや擬制キロが書いてあれば地方交通線です。
幹線の営業キロ5353.km、地方交通線の換算キロ112.3kmを足します。
535.5km+112.3km=647.6km→切り上げる→648km
これで計算します。
641~680kmを見て、答えは10,010円になります。
JR北海道の場合も同じです。幹線の営業キロと地方交通線の換算キロを合計して切り上げ、表はJR北海道幹線の運賃表です。
B.JR四国、JR九州内のみ利用
〇幹線のみ利用の場合
営業キロで運賃表から求めます。JR四国・JR九州用運賃表がありますのでご注意ください。
〇地方交通線のみ利用の場合
JR四国・JR九州内の地方交通線を利用する場合は擬制キロを使います。
この場合、擬制キロ87.2kmを使用します。営業キロは無視してください。
※本州3社とJR北海道の場合は営業キロなので注意
擬制キロ87.2kmなので88kmで計算します。徳島~海部はJR四国であり、81~90kmを見て答えは1,660円です。
本州3社やJR北海道とは違って地方交通線用の運賃表がありません。幹線も地方交通線も同じ表を使います。違うのはキロの方です。
〇JR四国、JR九州内で幹線と地方交通線をまたがる場合
幹線の部分は営業キロ、地方交通線の部分は擬制キロで計算します。
赤が幹線、青が地方交通線です。
幹線営業キロ107.2km+地方交通線擬制キロ87.2km=194.4km→195km
多度津~海部はJR四国なので181~200kmを見て答えは3,560円です。
C.本州3社と他の会社をまたぐ場合
JR東日本からJR北海道へ、JR西日本からJR四国へなど本州3社とそれ以外をまたいで利用する場合は
・乗車する全区間のキロを足す→本州3社の幹線の運賃から金額を算出
+
・境界駅~JR北海道、JR四国、JR九州の駅まで乗った分の加算運賃を算出
まぁ文字だと分かりにくいので下の例をご覧ください。
オレンジが本州3社の幹線、水色がJR四国の幹線です。
まずは全ての営業キロを足します。
732.9km+27.8km+186.6km=947.3km→948km
本州3社幹線の運賃表から12,210円
次にJR四国である児島~松山間の186.6km→187kmの分を加算します。
上記の加算運賃表から加算額は260円となります。
12,210円+260円=12,470円
12,470円が答えです。
本州3社とJR北海道、本州3社とJR九州でも同じように計算します。
加算運賃表はJR北海道、JR四国、JR九州とそれぞれあります。
D.連絡運輸線をまたぐ場合
連絡運輸線とは、簡単に説明するとJR以外の会社が運営する路線です。JRは別の会社と線路が繋がっていて、列車が直通していることがあります。
一般的な連絡運輸線
通過連絡運輸線
◎連絡運輸線を利用する場合の普通旅客運賃
・大人:JRと連絡運輸線の運賃を合計した額
・小児:JR線大人普通運賃の半額、1の位は切り捨て。+連絡運輸線の半額、1の位は切り上げ
では例を挙げてみます。
〇東京~伊豆急下田間
東京駅~伊豆急下田駅は途中の伊東駅から伊豆急行線になります。
東京駅~伊東駅は121.5km→122kmなので2,310円
伊東駅~伊豆急下田駅は1,650円
合計3,960円が正解です。
小児の場合は
東京駅~伊東駅 3,960円÷2=1,155円→1,150円
伊東駅~伊豆急下田駅 1,650円÷2=825円→830円
※連絡運輸線の小児料金は切り捨てではなく、切り上げなので注意!
合計1,980円が正解です。
〇紀伊勝浦駅~河原田駅~名古屋間~東京駅間
まずはJRの営業キロを全て足して運賃を出します。
179.6km+44.1km+366.0km=589.7km→590km
表から581~600kmは9,460円になります。
紀伊鉄道は520円です。
合計9,980円が正解です。
小児の場合は
JR:9,460÷2=4,730円
紀伊鉄道:520÷2=260円
合計4,990円が正解です。
〇京都駅~上郡駅~智頭駅~鳥取駅
次はJRが幹線と地方交通線を通り、さらに連絡運輸線も通る場合です。計算方法は基本的な部分は変わりません。
まずはJRの区間だけ求めます。幹線の営業キロと地方交通線の換算キロの合計から、本州3社幹線の運賃表で金額を求めます。
165.5km+35.1km=200.6km→201km
JR区間は201kmなので3,740円です。智頭急行線の1,320円と足して
答えは5,060円です。
小児の場合は
JR:3,740円÷2=1,870円
智頭急行:1,320円÷2=660円
合計2,530円が正解です。
E.加算普通旅客運賃
列車が次の区間を通る場合は加算運賃を支払います。
南千歳駅~新千歳空港(千歳線):20円
日根野駅~関西空港駅(関西空港線):220円
日根野駅~りんくうタウン駅(関西空港線):160円
りんくうタウン駅~関西空港駅(関西空港線):170円
児島駅~多度津駅(瀬戸大橋線):110円
田吉駅~宮崎空港駅(宮崎空港線):130円
では例題です。
例題
〇JR北海道
・JR北海道幹線の運賃表
・JR北海道地方交通線の運賃表
(1)次の大人運賃を求めさない。※運賃表は上にあります。
(2)次の大人運賃を求めさない。※運賃表は上にあります。
(3)次の大人運賃を求めなさい。※運賃表は上にあります。
解 説 は 下 へ ↓
(1)は4,840円です。
営業キロが220.2kmなので221kmで計算します。
運賃表はJR北海道幹線運賃表の221~240kmです。
(2)は3,190円です。
営業キロと換算キロがありますが、営業キロ129.3kmを見ます。
運賃表はJR北海道地方交通線運賃表の129~146kmです。
(3)は6,490円です。
幹線の営業キロ(136.8km)+地方交通線の換算キロ(203.2km)
=340.0km
運賃表はJR北海道幹線運賃表の321~340kmです。
〇JR九州
次の大人運賃を求めなさい。※運賃表は下にあります。
解 説 は 下 へ ↓
答えは2,170円です。
営業キロと擬制キロがありますが、JR九州の地方交通線の場合は営業キロではなく擬制キロで計算します。
JR四国・JR九州の運賃表101~120kmを見ます。
〇JR西日本・JR四国
次の大人運賃を求めなさい。※運賃表は下にあります。
解 説 は 下 へ ↓
答えは1,550円です。
まずは全区間の営業キロを足します。
27.8km+44.0km=71.8km→72km
運賃表は本州3社幹線の71~80kmを見て、1,340円になります。
次にJR四国(児島~高松)の加算運賃を足します。
44kmなので41~45kmの部分を見て加算運賃は210円になります。
1,340円+210円=1,550円が答えです。
2.乗車券の種類
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